模型・ガレージキットの製作では、ヤスリ掛けやリューターを使用したさいに粉塵が発生します。
そのままでは粉塵が舞い散り部屋が汚れますし、何よりも人体に有害で、呼吸器系の病気になる危険性があります。
マスクして作業すれば病気のリスクは減らせますが、部屋が汚れるのは防げないので、粉塵などを吸い取る集塵機の出番です。
模型制作に使えそうな集塵機を検索してみると、ネイルアート用の卓上集塵機が販売されていて、ヤスリ掛けのさいに出る粉塵は吸い取ってくれそうですが、リューターの使用には非力。
一方、自作集塵機によくある、掃除機を使用したサイクロン式集塵機は強力ですが、掃除機を使用しているために、音が大きく作業中付けっぱなしは厳しいです。
そこで今回は、そこそこ静かでそれなりに吸引力がある、ダクト用換気扇を使用した「自作サイクロン式静音集塵機」を製作します。
※サイクロン式集塵機とは
遠心力を利用してゴミと空気を分離して、ゴミは底面に溜め、空気はフィルターを通して排気します。
フィルターを掃除する頻度が少なくなるため、大量の木屑が発生する木工DIYなどでは、定番の集塵方法です。
材料
ざっくり材料紹介
・ダクト用換気扇 三菱電機 VD-18ZC9
吸引力が必要なために風量と風圧の有る、シロッコファンを搭載したダクト用換気扇を使用。新古品をオークションで3000円購入。
・透明バケツ
遠心力で空気とゴミを分離させるサイクロン部分。中が確認しやすいよう透明バケツを使用。
・フィルター
分離出来なかった細かい塵を捕捉するフィルター。
・75㎜アルミダクト
吸引口を手元に持ってくるためのダクト。
・吸引口の漏斗
手元の作業しやすいよう口の広い漏斗を使用。
製作
換気扇の吸引口のフチにすきまテープ貼っていきます。
ベニヤ板で塞ぎネジで固定、中心に100㎜のパイプを通すための穴をあける。
バケツの蓋の中心にも100㎜の穴をあけ、ベニヤ板とネジで固定。
100㎜パイプを穴に通す。
蓋の裏側の凹凸が風の抵抗にならないよう、厚紙で蓋します。
サイクロン部分で分離出来なかった、細かい塵を捕捉するフィルターを製作します。
Amazonで売っていた、ダイソン掃除機用互換フィルターの外装を剝がし、底面に極厚フィルター貼り付け、パイプとの接続用にすきまテープを巻き付けます。
パイプの中に押し込み、取り付けます。
吸引口のダクトを取り付けるために、バケツに穴をあけて接続用のパイプを取り付け、隙間埋めと固定のためにエポパテで埋めます。
このパイプを取り付ける角度が重要で、流入した空気が引っかかり無く、スムーズに壁面に沿って回転させる必要があります。
図のようにパイプを浅い角度で取り付けたり、L字パイプを使用したりすると、空気がスムーズに流れず、遠心力が弱くなり性能が低下してしまいます。
空気と粉塵を分離させるための仕切りを製作します。
バケツの直径よりやや小さくアクリル板切り出し、裏返した灰皿に接着。
製作した仕切りをバケツの底面に置くと、遠心力によって壁面に沿って運ばれた粉塵が、最終的に重力によって壁面と仕切りの間に落下して、空気と分離させることができます。
吸引口には75㎜アルミダクトと大型の漏斗+接続用パイプを使用。
漏斗の下部を切り取って、接続用パイプの口に合うように接着します。
追加で換気扇に取っ手を取り付けて、組み上げます。
これでサイクロン式集塵機の製作が完了したので、その性能を見ていきましょう。
集塵機の性能
集塵機の静音性と吸引力の性能を見ていきます。
まずは静音性をスマホアプリで計測。
吸引口の近くで30dB前後の騒音値です。
これは囁き声くらいの騒音で、作業に集中できる静かさと言ってよいでしょう
続けて吸引力のテスト。
レジンキャストの棒をリューターで削って、どれくらい吸い込めるのかテストします。
吸引口の近くで作業すれば、ほとんどの削りカスを吸い取ってくれるのが分かります。
これはレジンキャストを削った後の集塵機内部の写真です。
ほとんどの削りカスが底面に留まり、フィルターに到達していないので、サイクロンによる空気とゴミの分離がしっかりと機能しています。
まとめ
自作サイクロン式静音集塵機のメリット・デメリットをまとめてみます。
メリット
静かで付けっぱなしにできる
市販の集塵機(約1000w)と比べると省電力(約30w)
通常の模型製作では十分な吸引力
フィルター掃除の手間が省ける
デメリット
とにかくデカイ、縦60㎝ 横40㎝+ダクトで場所を取る
ポリパテをリューターで削るさいには力不足
以上で自作サイクロン式静音集塵機の紹介を終わります。
模型製作で出る粉塵対策は、部屋が汚れや病気の予防に役に立つので、皆さんも自作集塵機を導入してはどうでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。