こんにちは天城ハコネです。
この記事では完成品フィギュア以外の、イベントで販売されているガレージキットに興味はあるけど作り方がわからない人、作ったことのない人に向けた初心者向け講座となっています。
基本的な作り方さえ分かれば、完成品フィギュアには無いイベント限定キットを完成させたり、美少女プラモデル用の改造用レジンパーツも制作出来るようになるので、この記事を読んでぜひ挑戦してみてください。
目次
■ガレージキットの購入方法
まずは、ガレージキットを入手することから始めましょう。
主に「ワンダーフェスティバル」などのリアルイベントや、「トレジャーフェスタ・オンライン」などのオンラインイベントで購入可能です。
イベント以外では、オリジナルキットや一部の版権キットなどが販売されている「BOOTH」。
注意
ヤフオクなどのオークションサイトには、転売目的で元値の何倍もするキットや、無断で複製された海賊版が出品されていることがあります。よく分からないうちは購入しないことをオススメします。
基本的には自分の好きなキャラクターのキットを作るのが一番ですが、初心者の方には入手性や、作りやすさを考慮して「ボークス キャラグミン」がオススメです。
今回は、この「キャラグミン イリヤスフィール・フォン・アインツベルン(水着ver.)」を制作しながら、初心者向けの解説をしていこうと思います。
■まずはパーツチェック
購入したら、まずは全てのパーツが揃っているかどうか、付属のパーツリストを見ながらチェックしていきます。
メーカー製キットでパーツの欠品は滅多にありませんが、個人ディーラー製キットでは度々パーツの欠品が発生します。
さらに、パーツ欠品の対応はイベントの日から「2週間から1ヶ月」と、短いことが多いです。
そのためにキットを購入したら、まずはパーツチェックから始めましょう。
■離型剤落とそう
パーツチェックが終わったら、次はパーツに付いた離型剤を落としていきましょう。
ガレージキットは複製の際に、シリコン型の保護と成型品を脱型しやすくするために、型に離型剤を塗布します。
この離型剤がパーツに付いたままだと、これから行う表面処理などの作業がしづらくなったり、塗装の際に塗料が剥がれてしまうので重要な工程です。
離型剤を落とす主な方法は以下通り。
①台所用洗剤で洗う
どこのご家庭にもある台所用洗剤と歯ブラシで洗う。
②パーツクリーナーを吹き付ける
ホームセンターやカー用品店で販売されているパーツクリーナーを吹き付ける。使用の際はゴム手袋と換気が必要。
③専用の離型剤落としを使用
模型用品の各メーカーから販売されている、離型剤落としを使用。
④シンナーに浸ける
ラッカーシンナーの強力な脱脂能力で、離型剤を落とします。これも使用の際はゴム手袋と換気が必要。
わずか数分浸けるだけで離型剤が除去できるので、私はこの方法を多用しています。
■作業用工具紹介
表面処理などの作業前に、必要となる工具の紹介と解説をしていきます。
ニッパー・デザインナイフ
「ニッパー」は不要な湯口(プラモデルのゲートと似たもの)をカットするために使います。
ガレージキットの湯口はプラモデルのゲートと比べて太く大きいため、刃先が繊細な精密ニッパーよりも、ある程度大雑把に使えるニッパーほうがオススメです。
「デザインナイフ」は刃先を交換可能なナイフです。
カットした湯口を整えたり。バリ、パーティングラインを整形するのに使います。
刃の切れ味が落ちたり、刃先が欠けたまま使い続けると怪我の元となるので、すぐに新しい替え刃と交換しましょう。
ヤスリ類
「紙ヤスリ」はパーツを磨き、滑らかにするのに使用します。
「スポンジヤスリ」はパーツの曲面にフィットして磨けるため、曲面パーツが多いフィギュア制作で重宝します。
今回のガレージキットの制作では、400番を中心に、320~600番のヤスリを主に使用。
光沢塗装する場合には1000番以上のヤスリを揃える必要がありますが、今回は使用しません。
※ヤスリに書かれている番手(数字)は表面の目の粗さを表し、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。
「ピンセット」は紙ヤスリを掴んで細かいパーツを磨いたりするのに使用。ツル首タイプが使いやすくオススメです。
「歯ブラシ」は削りカスを落とすのに使います。ブラシが細かくて固いのが使い勝手が良いです。
瞬間接着剤
「瞬間接着剤」はパーツの接着や、気泡埋め、段差やカケの補修に使います。
削りやすい高切削性タイプを主に使用しますが、ゼリー状タイプもあると便利。
また瞬間接着剤は「瞬間」と名がついていますが、そのままでは硬化に時間が掛かるので、「瞬間接着剤用硬化促進剤」があると制作がスムーズに進みます。
接着剤を細かい部分に塗布するときは、「爪楊枝」や「ヘラ」を使うといいでしょう。
金属線・ピンバイス
ガレージキットはスナップフィットのプラモデルとは異なり、パーツをはめ合わせても固定されないため、接着剤や金属線無しで組み立てることが出来ません。
そのためパーツ同士を繋げるには金属線で軸を通す必要があり、その作業を【軸打ち】と呼びます。
軸打ちには加工が容易で入手しやすい「アルミ線」や「真鍮線」が主に使用され、今回は1㎜のアルミ線と0.3㎜・0.5㎜の真鍮線を使用します。
金属線を切断可能な「金属線用ニッパー」も用意しておくと良いでしょう。
パーツに金属線を通すための穴をあける「ピンバイス」も、0.3㎜~2㎜の各種揃えておきたいです。
また接着剤もプラモデル用とは異なり、「2液性エポキシ接着剤」が必要になります。
現在、無数の模型用工具が販売されていますが、ガレージキット制作に揃えておきたい工具を紹介しました。
■表面処理
ガレージキットの表面処理は、不要な「湯口」や「パーティングライン」を取り除き、「気泡」や「カケ」を埋めて修復していく作業です。
キット完成後に「パーティングライン」や「カケ」が残ったままだと、完成度の低い作品になってしまうので、丁寧かつ見落としがないように進めていきましょう。
湯口処理
まずはニッパーで湯口を切り落としていきます。
このとき湯口の根元から切り落とすと、湯口周辺がもげる危険性があるので、少しずつ切り取っていくのが正解です。
また下にあるダボ(接合面のズレを防ぐための突起)を、間違って切らないように注意してください。
ダボと湯口が一体化している場合や、ややこしい場合があるので、周囲のパーツと見比べながら慎重に作業を進める必要があります。
ある程度ニッパーで湯口を切り取ったら、続けてデザインナイフで整形していきます。
ここでも少しずつ、様子を見ながら作業していきます。
接合面にある湯口を処理するときは、ちゃんとパーツ同士が嵌るかどうか、隙間が無いか確認しながら進めていきます。
パーティングラインの処理
「パーティングライン」とは、キット成形時にシリコン型が分割される境目に出来る跡のことです。
プラモデルのパーティングラインよりも、大きなズレや段差が生じることが多いので、一つ一つ確実に処理していきましょう。
パーティングライン処理の仕方は、デザインナイフをパーツに垂直に当てて、前後に動かし削っていく「カンナ掛け」で行います。
丸みを帯びたパーツのパーティングライン処理には注意点があり、パーティングラインだけを削ってしまうと、そこだけ平らになり丸みが失われてしまいます。
そこでパーティングラインだけではなく、その周辺も少しずつ削ることによって、丸みを維持するように処理していきます。
丸みを帯びたパーツでは一ヶ所だけではなく、全体的に削ることを常に意識して作業してください。
カンナ掛けが終わったら、400番または320番の紙ヤスリで表面を均していきます。
ここでも一ヶ所だけにヤスリ掛けはせずに、周囲も削って丸みを維持することを意識してください。
仕上げに600番のスポンジペーパー等でヤスリ掛けをし、表面処理は完了です。
髪パーツ等の入り組んだ部分には、紙ヤスリを細く切り、ピンセットで掴んで研いていきます。
爪楊枝の先端を斜めにカットし、瞬間接着剤で紙ヤスリを付けて研く方法もあります。
リボンなどの小さいパーツは、持ちやすいようにゲートや湯口を付けたまま作業を進めていき、最後に湯口を処理します。
こちらの記事で、指先や髪パーツ等の、奥まったところのペーパー掛けに役立つ「自作ヤスリホルダー」を紹介しています。フィギュア制作に役立つ「自作ヤスリホルダー」
こちらでは、ヤスリ掛けを楽にする電動ツールを紹介しています。楽にヤスリ掛けをするなら電動化!3つの電動ヤスリ掛けツールを紹介
気泡埋め
ガレージキットの生産時には、必ずと言っていいほど気泡が発生してしまいます。
湯口付近やパーツの先端付近に発生しやすく、小さく見つけづらいのですが、一つ一つ処理していきます。
まず気泡を発見したら、瞬間接着剤を流し込みやすくするために、デザインナイフで抉るか0.8㎜くらいのピンバイスで穴を広げます。
そうしたら瞬間接着剤を爪楊枝ですくい、余計な空気(気泡)が入らないように流し込みます。
瞬間接着剤に気泡が無いことを確認したら、硬化促進剤を吹き付けて硬化させ、ナイフやヤスリで整形すれば気泡埋めは完了です。
ひどい時には、蜂の巣のような気泡の塊があるキットも存在しますが、キャラグミンは複製技術が高いのか殆ど気泡がありませんでした。
■軸打ち/組み立て
表面処理が一通り終わったら、軸打ち作業に入ります。
このキットのダボ穴には、軸打ちのガイドとなる窪みがあるので、これを利用していきます。
ダボを目安に、1㎜のピンバイスで垂直に穴を開けていきます。
両方に穴を開け、1㎜のアルミ線を差し込みます。
両方にブレがなく垂直に穴が開けていれば、パーツ同士が隙間なく合います。
もし穴が少しズレてしまいパーツが合わなかった場合は、穴の入口を大きめのピンバイスで広げれば、ピッタリ合うようになります。
それでも合わない場合は、2~3㎜のピンバイスで穴を完全に広げ、アルミ線を接着剤で固定すれば大丈夫です。
ダボ穴にガイドとなる窪みが無い場合の軸打ち方法は、以前投稿した記事で解説しています。簡単に出来るガレージキットの軸打ち方法
小さいパーツは0.3~0.5㎜の真鍮線で軸打ちします。
台座との接続は強度が必要なため、1.5㎜の真鍮線を使用。
軸打ちが終わったら、一度組み立ててみます。
ここで改めてパーツに隙間がないかチェックしたり、この後の塗装の手順(塗る順番や、グラデーションの陰を入れる場所)を考えたりします。
以上でガレージキットの作り方~組み立て編~ は終わりになります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回、塗装編に続く。➡➡➡https://www.daibakoubou.com/post/ガレージキットの作り方-塗装編